わすれたふり

わすれたふりをする。

もうちっとも、すっかり、これっぽっちも思い出しもせずに、

日々はすぎていっているのだと、

わすれているふりをする。

 

 

子供を産んだときにできるのは

じぶんの分身なのかもしれない

 

あの時からちっとも変っていない自分と

あの時からものすごい勢いで変化する自分がいる。

 

わたしの分身は

あの春から、動けずにいるのに

おなじばしょに行っても

おなじにおいがしても

おなじ音楽をきいても

だれにも会えない。

 

いまはそれが、すこしかなしい。