彼女のこと

昔の日記を読み返してすこし苦しくなっていた。
だんだんと、ゆっくりと、言葉使いがかわっていく。
ある一点から、劇的にかわる。


たぶん今なら、違っていたんだろう。
そんなことないかな、結局、同じ道をたどってしまうもんかな。

わたしは、彼女と話がしたかったのだ。
彼女と、彼女との事について、話がしたかったのだ。
けれど彼女は、わたしと話をすることをやめてしまっていた。
それは、彼女がわたしともう折り合う必要は無いとおもったから。
わたしと彼女との事を彼女は、別の人と話す。
わたしのことや、わたしとのことを、別の人には話す。
わたしのことや、わたしとのことを、わたしとは話してくれずに。
哀しかった。

わたしは、彼女の事や彼女との事を、彼女と話したかったのだ。
別のひとと話す必要なんてこれっぽっちも無いと思っていた。
それは、わたしが彼女と折り合いたいとまだ、願っていたから。
もう、間に合わなかったのに。


わたしやわたしとの事を、他人に話して何になるのだ。
だったら、話なんてしなくてよかった。
悪い事も、たとえば良い事も。
わたしの居ない所で、話されるそれは、
もはやわたしの話ではないのではないか。


わすれられない、できごとで、
折り合えなくて終わってしまったから、残る。
くやしいから、わたしは時折、すきなひとにそれを話してみる。
すきなひとは、わたしのことをすきだから、
わたしをなぐさめてくれる。
そういう場面を想像して、やっぱり、わたしは
そのまま口をつぐんでいる。