時折のこと


はっと、する。
しばらく雨が降らないと、降ったときにおもう。
なんども、なんども思う。
むねがいっぱいになる。

あ め、の日の記憶。
それは思い返すほどすばらしい思い出はない。
けれども、どうしたって愛しい気持ちになるのだ。


腕をだすには少しだけ肌寒いくらいの夜に、素肌にふれる羽毛ふとん。手を繋いでねむる。
雨の音と、寝息。
もうすぐ6月がくる。
じめじめとして、舞い上がる湿度の高い風にわたしの髪の毛はくるくるとうねるんだろう。
熱かったり寒かったりを繰り返して体調も崩すだろう。
それでも、愛しい気持ちでいっぱいになるのだ。

見逃してきたこと、
見逃していくこと、
もうそれでも良いんだ。