ウエハースの椅子


目を閉じて息をすい、安心したふりをする。

このことはもう忘れようと決め、

私は実際に忘れてしまう。すっかり。

他に方法はないのだ。





江國香織/著


photo:web siteから拝借



江國さんの本はわりと持って、読んでる方で、
いつも買ってきては思いだすように、
そうそう、江國さんってこういう感じ。

とか思っていて。


でもこの本は、来た。と思った。


わたしのいちばん好きな「きらきらひかる」に通じる何か。



瑞々しい。

例えば春や初夏には似合わない様な、
まさに、今の寒い冬で、雪なんか降ってしまいそうな日に
うるおいを求めて読むような、そんな話だった。


主人公は絶望と話ができるのだ。
とても愛しい。