梅雨入り、のニュース。
煮え切らない天気が続く。
ゆらゆると高くなっていく気温に、湿度。
体感はじっとりとしていて、ペタペタして、じめじめして。
そこに加えられる、雨。

挨拶の度に添えられる、「雨、ですね」

「雨、嫌ですね」

「雨で、嫌になっちゃいますね」

「はやく雨、止みませんかね」

「雨」



この時期の雨への風当たりにはわたしも太刀打ちできない。
誰もが、雨は誰もが嫌いなものと種別されてしまっていて、もはや疑問系でもない。雨、イヤですよね。断言。そして、"ですよね"の共有文。


社交性、なのか、面倒くさがりなだけか。
否定はせず、差し障りのない挨拶に同意する。
「そうですね」



本当には、そんなことはない。
この、じっとりする季節でさえ、わたしは変わらず雨のことが好きだ。
じめじめして、じっとりと暑くて、ぺたぺたするのは苦手だけれど、それは湿度のせいであって、雨のせいじゃない。



真夜中、マサさんと息子の寝息と、雨の音がしてた。
それだけがわたしの世界を包んでいた。
他にはなにも要らないと思った。