記憶


たとえば、いつかいつかいつか遠い未来(であってほしい)
自分がこの世からいなくなるとき

走馬灯のようにという表現の通り、現在から過去
産まれてくるときまでの記憶が、ぜんぶぜんぶ事細かに
映像として思い出されるんじゃないかと思ったんだ。

そしてそれは、それだけは、とてもたのしみだ。

いまわたしの中でいちばん古い記憶は、
お布団の中で眠る前にキャンディーを食べようとして見つかってしまったことか、
姉妹でお風呂に入っていたときに、湯船の中でうんちをしてしまったことか、
母親の足を両手で抱いて、髪の毛を洗ってもらったことか、
トイレの窓から母親が出勤するところを見送ったこと。
いづれも引っ越しをする前の事だから3歳か4歳頃のはずで、
それかもっと、前なのかな。

一番初めの記憶って、みんなどれくらいの頃のから持ってるんだろう。

忘れてしまったこと、どうしても思い出せないこと、思い出したい。
それが死んでしまうときでも。
だれにも話せなくても。


思い出せないことがたくさんある。
思い出したいことがたくさんある。
忘れてしまいたいこともたくさんある。
けれどすべて、やっぱり覚えていたいと思う。

記憶をさかのぼって、さかのぼって、ゼロになって、また
次の人生を始めるのだ。


まだ、まだ、遠い、遠い日の話だよ。
ほんとだよ。